ビースタイルの新規事業をさせていいただいています。左上のほうは、全部人材サービスになっていて、主婦の方がフルタイムで働けないのだけれども、どうやって仕事を探していくのかというのをやっていました。その中で家事代行という事業を立ち上げました。

何で人材会社で家事代行?という話ですよね。これは、主婦の方と16年ぐらいずっと仕事を探しをやっていると、家がぐちゃぐちゃになっちゃってという悩みがすごく深いんですよね。そのため、家事代行の市場規模自体はすごく伸びていて、これからまだ6倍ぐらい伸びそうというのがあります。事業者数も増えています。

その原因としては、共働きの世帯の増加というのがあります。

30年前と比べると大体2倍弱ぐらいですね。ただ、共働き世代が増えたから、じゃあ家事はどうなるのと。最近はイクメンとか家事を協力する男性もかなり増えてきました。しかし、男女別の家事関連時間を見ると、女性の家事関連時間は、30年前は4時間だったのが、今は3時間45分、15分しか減っていないですよね。つまり、共働きで外に出るようになったけれども、家事も引き続きしないといけない。物理的にどうしてもかつかつになります。

実際、「子育て キャリア」とかで調べていくと、キャリアアップみたいなものもありますが、中断、あきらめ、ダウンとか、やっぱり子育てと仕事の両立って現実的には難しいよねとなります。それなので、働いている女性、特に子どもがいる方は、多くは自分のキャリアをあきらめて家庭をもっと大事にるすとか、それでも家をきれいに整えることをあきらめるとか、また、子どもと向き合う時間をあきらめる、この3択。もうどれもあきらめられないという中で極限の選択を突き付けられているという感じです。

こういうところを人材会社として10何年見てきたところがあったので、単に仕事としてその人のキャリアを応援するだけではなく、こういう風にあきらめる人をなくしたいんだ、そういう思いをもって家事代行というのは手段の一つとしてやっています。

あとは不妊治療中の方ですね。あんまりこういう切り口は少ないと思います。

出産した方とかママ向けの支援はすごく手厚くなってきている。みんなが助けなきゃねと思いがちなのですが、実際そこに至る前に不妊治療をしている方も結構生活がぐちゃぐちゃになりがちなんですよね。ホルモンバランスを整えるために病院にいつ行かなければいけない日時が直前に決まったりします。今週病院に行ったら、来週月曜、木曜、金曜にまた来てくださいというのが急に決まる。仕事場での有休調整がすごくしづらい。もしくは有休調整ができたとしてもその分仕事がたまって、じゃあ休み明けにはめちゃくちゃ働かないといけないと。また、ホルモンバランスとか自分の体を気づかわないといけないので、夜9時までにはごはんを食べましょうとか、11時までには寝ましょうとか、残業続きでぐちゃぐちゃの中でそれをやらないといけなくて、あれ、いつ洗濯するの?シンクがもうぐちゃぐちゃでカビが生えてきたけれどももう寝なきゃいけないという感じで、どんどん滅入っていく。

そういうのってなかなか男性のみなさんは聞いたことがないと思います。不妊治療するとか、それがどういうことなのかというのを周りの人に言わない人が多いので、これはほとんどの企業の方もこの人たちが支援が必要だということにまだ気づいているところは非常に少ないです。トユンタぐらいですかね、不妊治療向けの休業支援の仕組みを作ったのは。それなので、これからこの部分を結構支援していかないといけないのではないかなというのはあります。

新規事業はお金がないので、無料キャンペーンをやると、当然、大赤字なんですよね。経済的には成り立っていないのですが、こういうところをやり、みんなにお会いしてもらうことで、まずは試しに家事代行を使ってみるとか、つらい時はつらいと言って頼っていいんだよという文化を根付かせることが必要なんじゃないかと思っています。その手段が家事代行だと。

今、子育てとか、自分の生活って自分でやらなきゃだめだよねみたいなところがあると思うんです。それって実は日本だけで、シンガポールなんかはほとんど家事代行を使うのが当たり前になっています。じゃあ、つらい時はつらいってみんな言えばいいし、それを助けるために子どもを持っていない方でも僕らのサービスを使ってもらうことで、その中の収益の一部をそういう方の支援に使いますよということをうまくできたらいいなと思っています。
それなので、お子さんがいる方、そうでない方も一人一人が使っていただいて育ててもらうというのが実際回りまわって困っている人助ける力になります。

私たちは、まだ始めたばかりで、他社さんと比べると規模も全然小さいのですが、そういう思いを持っているので、ぜひ気になればご利用いただければなと思いますし、あとは一緒にプロダクトをつくりたいという方ももちろん大歓迎です。

ちょっと脱線したので戻ります。

新規事業をする上で、事業として成り立つ手前の山の登り方を考えるというのがまず一番最初に起こるハードルです。

そこは何かというと、実質価値、これは最初は少ないので感情価値の部分をなるべく増やしていきましょう。人は、スペックの部分だけで動くものではありません。理性で出来た機械ではないので、心で動くどろどろした生き物です。皆さんも経験あると思いますが、その部分をちゃんと消費者の方、お客様一人一人と向き合って感情の部分を拾ってあげると、最初の新規事業のところでもうまく乗り越えられるのではないかなと思っています。

以上です、ありがとうございました。

次回に続く
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