サービスには3種類の価値があると思っています。

1つ目は、実質価値。要は数字で計りやすいものですね。誘引数とか商品数とか価格が安いよみたいな感じのスペックの動きです。

2つ目は、機会価値。これはあまりみなさん耳にしたことがないと思います。サービスそのものではなくてそれを買うことによって次に本当に欲しいものを手に入れる前段階として購入すること。何を言ってるかわからないと思うのですが、端的に言うと、AKBのCDです。あれはCDが欲しくて買っているのではなくて、握手券とかもしくは投票権が欲しくて買っています。それなのでCDそのものに価値があるではなくて、それを買うことによって本当に欲しい握手券をという商品を買おうとしているという話です。

昔だとビックリマンチョコとかもこれに近いですね。チョコそのものよりもシールのほうが欲しいとか。あとはゲームソフトで抱き合わせ販売されるとかだと、結構売れないソフトを一緒に人気ソフトとセットしてそれでも欲しいから買うみたいな人も結構います。

それなので、テクニック的には売上伸ばしたり利益を伸ばしたり使えるんですけども、結構世の中から責められたり、あんまり本質的ではないのでと言われるところもあるので、多少活用するにはいいと思いますが あまりここだけ注力するのはちょっとまずいかなという感じです。

最後が、感情価値という部分です。これがいわゆる地元の友達がやっている居酒屋に行ってわいわいとやっているそういうのです。サービス自体のスペックが高くなくても、そこに何かしら共感があったり、その人に対して、ストーリーに対して思い入れができると、そこに対してすごく価値があると。それなので、実質価値の部分で結構最終的にはここをどう高めていくかというのが戦いになるのですが、それだけではなくて、最初、この実質価値が低い時、じゃあそれを一朝一夕では決めるのは難しいので、なんとか感情価値の部分を高めることによって、トータルでの価値を高められるというのがまず考えるべきなのかなあと思います。

この部分、情報じゃなくて情緒で勝負するというのをまず意識していただきたいところかなと思います。

ちなみに転職とか、自分のキャリアを考えるときにも全く同じことが言えます。
実質価値は待遇部分ですね。年収とかもしくは肩書きとかそういうのがあります。

感情の部分はやりがいですね。

機会価値は、例えば給料が安くて、やりがいもない、面白くもない。これをやることによって次、自分がやりたいキャリアに近づけるというようなものがあるかと思います。例えば、外務省に一回行った後、民間の経営コンサルタントをするとか。自分のキャリアのために一社、2社はさむというのは僕はありかなと思います。

じゃあ具体的に言うとどんなケースがあるのということをお伝えしたいのがこちらです。

これは僕が先日までやっていたIという不動産ブランドです。フィンテックで皆さん多分ニュースで耳にしたことがあるんじゃないかなと思います。フィンテックは金融×ITですね。ビッグデータを使って世の中を変えるというものなんですが、それの不動産版だと思っていただければ大丈夫です。

これは大体数千万件かな、それぐらいのビッグデータを不動産の取引だったり、もしくはスーモとかホームズとか色々なサイトに出ているデータを基にして、各マンションはいったい幾らが今相場なのかというものの理論値を出しているものです。
例えばコートレジデンスが、今売りに出ていない状態でも、もし売ったとしたら6,327万円くらいで売れるはずだよと、不動産屋に行く前に大体幾らぐらいかということが分かるという感じです。こういう風にして相場価格を見せつつ不動産売買をするポータルサイトというふうになっています。

ちなみにこの(Iという)不動産サービスってご存じでしょうか。ご存じの方いらっしゃいますか?ほぼいないという感じですよね。結構、日経に載ったり、色々なサイトに紹介頂いてるんですけれども、まだまだUUで言うとこんな感じです。見えないぐらいの感じですね。物件数で見ても ちょっとマシになったというところです。それなので、やっぱりこの住宅領域で比べると、サイト規模はミジンコ、物件数はアリンコという感じです。

じゃあ、マンションを売りたいと思った時、何でIというサービスを使わないといけないのという話になります。特に一般の方だと普通にスーモで売ればいいじゃん、ホームズでいいじゃんというのが当たり前の発想なんです。そんな中で、じゃあどうやってIを選んでもらう、自分のサービスを選んでもらうかということで考えたのが、あなたの「一軒」に寄り添うということですね。サイト規模とかUU、そういう規模のところでは勝てないけれども、例えば自分の家を売りたい人って、物件数とかそんなに関係ないと思います。ただ、自分の家がちゃんと売れて、かつなるべく高く売れたらそれがいい。また、一緒に過ごしてきた大切なこの家の思いも理解してくれたら、それはすごく価値が高いというふうに思っていて、じゃあ、規模じゃなくてその一人一人への寄り添い方を頑張ることはできるんじゃないかと思いました。

色々な取り組みをしたのですが、その中の一例が、価格更新メールです。

今、リアルタイムで、サイト上で価格変動しているんですよ。それを毎日見て価格をチェックしてくださいねというのは結構面倒くさい。それなので、メールで通知をしているんですね。
大体こういったメールって、物件をお気に入り登録してくれたら、価格が動いたらメールでお知らせしますよという感じだと思うのですが、お気に入り登録しなくても勝手にメールがきます。勝手にというのは別に許可なくということではなく、お気に入り登録をしなくてもある一人のユーザーが見るマンションの数って結構絞られているんですね。自分のマンションを売りたいという人であれば、自分のマンションばっかり見るでしょうし、買いたいという人であれば、幾つか候補にのかっている3物件、4物件ぐらいですかね。じゃあ、その人が一番よく見ている物件の比率から見て、自動で届けてあげればいいんじゃないかと。

そうしたら、何となく登録して、サイト上を見ていたら、なぜか自分が一番気になっている物件が、毎月価格が変わりましたよというメールが届くという仕組みになっています。
これによって、送る数自体もお気に入り登録させる時と比べて5倍から10倍ぐらいかなという感じです。

かつ、ただメールを送っても意味がないので、じゃあ価格が変わりました、上がりました、下がりました、それをどう判断したらいいのという話になるので、それぞれの文脈によって結構細かく訴求分けをしています。

まずは、不動産自体が上がっているのか。これは市区町村単位で変わってきますので、その相場の案内ですね。その中で自分の気になる物件が価格が上がっているのか、下がっているのか、さらにその物件を売りたいのか、買いたいのか、それで全然意味合いが違ってきます。そういう風に細かくパターンを分けて、それぞれでこの情報を見たらいいのかというようなメッセージを届けています。

例えば、相場も上がっている、物件も上がっている、全部上がっていて、今がまさに売り時ですよとなるでしょうし、相場は上がっているんだけれども、自分の持っている物件だけ下がり始めてたというのは、結構早めにアラートを出してあげたいですね。相場は上がっているけれども、この物件は下がり始めている、売りたいなら注意してくださいと。下がる時も同じですね。こういう風にその人が抱えていそうな悩みに即して送ってあげることでより悩みにフィットできると。

実際、これをメールで送っているので、今なかなか皆さんメルマガとか見ないと思うんですよ。それなので、実際にメールを送ってから開封されるのが開封率、そこから開封してからサイトにクリックするのがCTR、今送ってもなかなかLineとかもあるから開封率が伸びてきません。じゃあ、実際にどれくらいの数が出たか。

この数字はちょっとオフレコなのでこの会場を出たら皆さん忘れていただきたいのですが、開封率がいわゆる相場でいうと5~10%ぐらいに対して、このメールは40%ぐらい、8倍ぐらいの数字が出た。さらに開封してからクリックする割合は、大体0.5~5%ぐらい、それがIは58.4%。それぞれ結構桁が違うぐらいの効果があります。それなので、メールという手段自体がちょっと時代遅れになりつつありますが、そういう中でも工夫してあげることで、それぞれのフェーズで1桁ずつ上げて、最終的には大きなコンバージョンまで持って行くことができる。
これ以外のものもいろいろやった結果、最終的には売上の4割ぐらいがメール経由でという感じです。

最初にお話ししたとおり、事業の初期フェーズは有料集客をあまり使えない。それなのでSEOを頑張る。頑張るんですけれども、Googleの判断次第なので、自分であんまりコントロールできませんと。じゃあ、その中でより高めていくためには、興味を持ってくれたお客さんリストに対してどうアプローチするか。恐らく皆さんメールとか、もしくはブログとかでCRMとかという感じになると思います。

ここまでは過去の事例です。

今は先月から、ビー・・・・・・次回に続く